【木戸川からの旅立ち】



【木戸川からの旅立ち】


秋晴れの空の下。


木戸川の川辺に押し寄せる人達の目線の先には、壮大な旅を終え川を遡上する魚の姿。


秋も深まり、冬も間近なその季節にたくさんの人を魅了するその魚の名は「鮭」


産卵をするために遡上する鮭の姿は勇ましく、繋げば終わる運命と知って、命を燃やすその姿に人々は心惹かれていく。


そして繋がれる命はまた果てしない海へと旅に出る。





子供達よ・・・旅立ちの時だ。

いいか!私からの最初で最後のお願いを今からお前達に伝える!

一度しか言わない!心してよく聞け!!














・・・全員・・・帰って来い。






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「このサケの頭を叩いて・・・」


・・・

・・






昨年の秋、私とタケダ師は鮭漁を体験させてもらいに木戸川を訪れていた。

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捕った鮭の命を繋ぐための採卵と受精を木戸川漁協の鈴木謙太郎さんに教わり、体験させてもらったのだ。



私とタケダ師、二人で約10000粒の受精卵を作る過程で、命の尊さと有難みを痛いほど実感させられた。

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木戸川のサケ10000匹の命をつくる!】より

その後、何度か木戸川に訪れて、その受精卵が無事に育っているか見に行っていた。



発眼した時、命がちゃんと繋がった事を確認できて安堵した。



孵化した稚魚の弱弱しい様子を見に行った時は、とても心配で、謙太郎さんが掬って見せようとしてくれるのだが、それも傷ついたりしないか心配する過保護な親の様な目線で見つめていた。

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それから約二か月… 
あまりにも忙しくなってしまった私は、木戸に行けていなかったが、謙太郎さんから連絡をもらった。


それは稚魚の放流式が決まったという内容だった。



マチャ「そうか・・・あの子達はもう旅立つのか・・・」


あの子達はどうしているだろうか。
元気に大きく育ったのだろうか。
本当に川に放流しても大丈夫な程強くなったのだろうか。


親心がすっかり芽生えている私は、子供達に会いたい気持ちであふれ、みんなで木戸川に行く事を決めた。





そして土曜日の午後。
木戸川に到着。


鈴木さんが迎えてくれた。



アクアマリンふくしまの吉田さん、REIN’Sメンバーのタケダ師・タカの4人で訪れていた。

木戸川 サケ 稚魚 2.png

鈴木さん「久しぶり! あの子達に今餌をあげていたところだよ! みんなもやってみる?」
マチャ「おぉ~!やります!! あの子達元気ですか!!」

鈴木さん「めっちゃ餌たべてるよ(笑)」


そして目の当たりにする稚魚たちを見て、私達は感動していた。

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あの弱弱しい様子がなくなり、流れに逆らってしっかり泳ぎ、鈴木さんが撒いた餌に果敢に飛びついている様子からは、か弱さなんて微塵もなく、やんちゃ坊主の印象だ。

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木戸川 サケ 稚魚.png

私達も餌やりをやらせてもらった。

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大きくなれよ!
いっぱい食えよ!そんな事を想いながら餌を撒く。




餌を撒きおわり、子供達の食事の様子を眺めては、また愛おしさが増したことは言うまでもないだろう。


こんなにも可愛い子達なら、いっそ旅になど行かせず、私のもとで飼いたいくらいだ。



しかし、それはこの子達にとって幸せとは言えないのだろう。
古より受け継がれたその習性の元に、川を下り海に出る。

旅を終えてまた帰ってくる・・・



そう・・・帰ってくる。




また会える。





鈴木さん「今日、少し放流しよう。」


マチャ・タケダ師「・・・。でも、前日雨降ってるから、川濁ってるし・・・」

鈴木さん「このくらい大丈夫。」
マチャ・タケダ師「いや、でも今日放流しなければ、明日もこの子達は餌をもらえるわけで…」

鈴木さん「川の方がもしかしたら餌が豊富かもしれないよ?」
マチャ・タケダ師「いや、でも・・・」


鈴木さん「このくらいの困難にへこたれる様じゃ、とても10000㎞の旅なんて戻ってこれないよ」
マチャ・タケダ師「・・・はい。」

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私達は子供達の旅立ちを受け入れた。




この子達が、4年後帰ってこれるのは・・・100匹に1匹・・・200匹に1匹。

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そのあまりにも少ない数を考えると、私達二人で作った受精卵10000粒から生まれた稚魚達が放流した後、再び木戸に帰ってこれるのは約50~100匹程度しか戻ってこれないのだ。




その数字を目の当たりにし、今愛するわが子達を放流するのは、もう会えないかもしれないという別れでもある。



しかし、それも運命。



私達は木戸の川辺に立っていた。

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鈴木さん「それじゃ送り出そうか。」

マチャ「・・・はい。」




・・・



・・・



・・・





・・・いいか。


これからの旅は、きっと楽な事ばかりじゃないだろう。
しかし、みんなで困難に立ち向かいなさい。


子供達よ・・・旅立ちの時だ。

いいか!私からの最初で最後のお願いを今からお前達に伝える!

一度しか言わない!心してよく聞け!!













・・・全員・・・帰って来い。










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川の流れに身を任せ、川の奥に姿を消していくわが子達の姿を目に焼き付けた。


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寂しい心・・・




でも4年後帰ってくると信じて、私達はこの場所で待つだろう。




4年後・・・秋晴れの空の下でまた会おう。


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私から朗報をお伝えいたします。


震災後、ようやくサケ漁や孵化事業が再開されましたが、今年放流できる数はおおよそ130万匹だそうです。

この数字は、全盛期に放流していた数の実に10分の1。

全盛期の木戸川に戻るには20年はかかるのではないかと言われています。

しかし、そんな中でも漁協の努力によって、震災前から愛されてファンも多かった木戸川の珍味「さけのよ」の販売が再開されました。

現在では木戸川漁協で購入可能、今後販売店を拡大していくとの事です。

楢葉の木戸川の近くを通ったら、「さけのよ」のお土産買ってみてください♪
とても美味しいです!

シーズン過ぎてしまいましたが、今年のお歳暮なんかにも良いかもしれません!

壮大な旅を経て帰ってきた木戸川の鮭で作った「さけのよ」

サケとばとは違ったこの珍味を是非お試しください!
(神経質でサケとばが嫌いな私ですが、「さけのよ」は超美味かったです!おススメ!)


木戸川 珍味 さけのよ 価格500円.png
さけのよ
1袋 500円(税別)

是非お試しください!

木戸川漁業協同組合
http://www.kidogawa.jp/