【間に合え… 紬希孤悲】





【間に合え… 紬希孤悲】



想いを寄せる人が突然「結婚する」と聞いたらどんな気持ちだろうか。



何度過去を後悔したことだろう。


あの時、なぜ自分は勇気をもって言い出せなかったのだろう。


「君が好きだよ」


その一言が言えたなら、今あるっこの状況は少しは違ったのだろうか。



そんな事ばかりが頭の中を駆け巡る。



しかし、どんなに嘆いてもプロポーズ大作戦ではあるまいし、妖精が出てきて過去に戻してはくれやしない。
プロポーズ大作戦ですら、なんど過去に戻っても現実を変えることが出来なかった。


変えられない過去に嘆くのではなく、これから帰られる未来に勇気をもってぶち当たる事の方がよっぽど大事なのだとあのドラマでは言っていた。



そう。



まだ終わってないのだから。



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「マチャさん。少ししか滞在できないけど・・・いわき行っていい?」



友からメールが届いた。



私は空を見上げた。



天気は悪くない。



彼が来る理由を聞かずしてわかった。





「5時以降…空いてるよ。 5時に〇〇町のファミマに来て」








彼は2時間以上かけて私に会いに来る。



いてもたってもいられず、話を聞いてほしくて私の所へ遠路はるばる足を運ぼうというのだ。




私は、彼の心を知っていた。




彼になんて言葉を掛けたらよいか…



乱用したら希薄になる「がんばって」なんて言葉は俺は使いたくない。



何かしら心の迷いを晴らしたくて彼は来るのだ。




私は彼にこたえよう…






さて…




最近忙しすぎて川の状況がわからない。



「5時まで野暮用がある」と、嘘をつき、コンディションの良い川を巡った。




狙う魚はたった一つ。


それ以外考えられなかった。




久々に川を周るが、どこも厳しい。




しかし諦めるわけにはいかない…



俺が彼にやってやれる事はこんなことしかないのだから…





どの川も出ない。



その魚が出ない…





くそぉ!季節は悪くないはずだ!




焦る心…



どれだけ車を走らせただろう…












あぁ…







やっと見つけた。






やっぱりここか…









あとは、時間だ…











あ…





こんな時間!







「あと10分まって!」




くそぉ!!!



時間がないんだよ!!!



はやく行ってくれ!!!!



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待ち合わせ場所で彼と合流して、現場に急いだ…




着いた!!!



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あと…くそぉ!!10分ってとこか…





オザキさん!ついて早々わるいんだけどさ!!



タックル準備して!








え?あ・・・はい。







マチャ(時間がない…でも焦らせちゃダメだ… 平常心で…   間に合ってくれ…)




オザキ「準備できました!」

マチャ「よし!いこう!(あと何分の猶予があるんだ… 間に合って…)」


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マチャ「いいですか!私が投げるパンにその仕掛けを同化させてください!チャンスは本当に限られてます!(言うべきではなかった… 落ち着け…)」




オザキ「行きます…」


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私が撒いた餌をいつも食べているコイ達だ…





今日…



今日だけ応えてくれ…





オザキ「!!!!来た!!!!」



ジーーーーーー!!!!!!!!!!!!!



















オザキさん。






俺にはね、必死で彼女との想いを繋いでいる様に見えたよ。







そのか弱い細い糸を通じて、なんとかその糸を紬ぐ姿を俺はちゃんと見届けたよ…


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なんでさ…




人は孤悲するんだろうね…




孤りで悩んで、苦しくて悲しくて…




なのに…


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オザキ「マチャさん…  釣れたよ!!!!」


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えぇ…






間に合った…



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日没には釣れなくなってしまうこの魚に、私は想いを託した…






「頑張って」そんな言葉を言う代わりに、伝えたい事を伝えたかった…





日没だ…



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オザキ「マチャさん… ありがとう。」


マチャ「あなたの話を聞いて、私があなたに釣ってもらいたいとするならこの魚以外になかった…  猶予が無くてもうしわけなかったけど、誰かの恋の様ですね。 …でも、間に合った。」



オザキ「…だからここに? マチャさん…」









紬ぐ想い




叶えたい願い





沢山の想いが交錯するなか、人は不安と恐怖の中に孤りでいなければならない。



成就するまでの悲しく辛いその日々が報われるのかどうかは、変える事のできる未来に託されるのだと…




金木犀の香りがほのかに香る秋風が優しかった。



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友よ…






終わらない勝負を自分で終わらせないでね。




希望を紬いで欲しい…










私から最後に言葉を贈ろう…

















間に合え…紬希孤悲

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2018.09.24