【ランカーシーバスと形見竿】







【ランカーシーバスと形見竿】



雨だ…



釣りをする予定だったのに、大切な日はいつだってそうだ。




お前は本当に雨を止ませる事はしないね…



そりゃそうか…



そのために譲り受けたんじゃないもんな…




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先日の事だ。




私はFishmanの鈴木さん(以後たかちゃん)と釣りをしていた。


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私は久々にシーバスを釣って、本当に楽しかった。
嫌な事も忘れることが出来た。



そしてこの日、たかちゃんと釣りに行く予定だったが、あいにくの雨で釣りの予定を中止にするほかなかった。






私は、たかちゃんとジムでストレス発散しようとジムに誘い、今後の予定を立てようと思っていた。




ジムに到着し、トレーニングを始めるとすぐに、たかちゃんは私に言った。



た「マチャさん。今日は出るよ。デカいの」

マ「え・・・?」


た「雨上がって水位も落ち着いて、こういうタイミングならデカいのが出ると思う」







まったく・・・呆れた釣りバカだ。






釣りの準備もしてねぇっつうの。万が一にでも行く可能性があるなら、俺が家を出る前に言っておいてよ・・・





ジムに滞在した時間20分。





30分後に釣り場に向かっていた。







現場に到着すると、さっきまで大雨だったとは思えない程、雨も上がり風も穏やか。







私達は準備を終え、そして釣りを始めた。



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釣れなくてもよかった。







ただ、笑って一緒にいる友達がいる事に私は感謝した。









すると、たかちゃんが「マチャさん、俺はあそこにいるような気がする」






私は見守った。








すると、次の瞬間「バシュ!」



巨大な音を立てて水面が爆発した。






・・・・




ぶち曲がるロッドの迫力は物凄く、つい数秒前まで物音ひとつなかった水辺が騒音で満ちている!



そして・・・

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巨大なシーバスを私に向けて掲げる姿に、私は胸が熱くなった。






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マ「たかちゃん!すごいね!」



た「やったぁあああああ!!!!  やったぞぉ!!!!  やったぁあああ! ありがとう・・・」







私は少しだけ違和感を感じた。







マ「おいおい・・・確かにすげぇけど・・・どうした?  ランカーはお前は何本も釣ってるだろ!? そんな・・・」




た「違うんすよ・・・マチャさん。」





たかちゃんは大事そうにロッドを抱きしめている。



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た「この竿・・・去年死んだ俺の親友の形見なんです。 あいつ・・・俺がFishmanに入った時、付き合いでこのロッド買ってくれて・・・ あいつが死んだときにコレゆずり受けたんすよ・・・ だから、どうしてもこのロッドでランカーとりたかった・・・」





た「おい・・・やったぞぉ!!! やったぞ・・・」





写真を取り出して語り掛ける様子が印象的だった。







「それが親友だった彼か?」




た「そうです・・・ あいつ・・・釣りに行けなかったから…  だから今、俺が毎回連れて行ってるんです。一緒に釣りに行ってるんです」














お前が空を仰ぐその姿を、きっと彼も見ているに違いない。











頬を撫でる風は優しく、さっきまで泣いていた空には星を遮るモノが消えている。




月明りを映す川



草の臭いとカエルの詩。








ほのかに感じた夏の匂い。








二人の旅はこれからも続くだろう。
・・











おめでとう








月明りの下、大事そうに川に魚を返す彼の背中に一言つぶやいた。