【探し物】







【探し物】


最後に見たのはいつだろう…



果てもなく遠く昔の事の様に感じる…


川のせせらぎ…


林の腐葉土の独特の匂い…


一歩…また一歩…


足元に気を配り目線を先にやる。


懐かしい様で切ない様な…そんな渓で、私は甘酸っぱい思い出を探していた。




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この辺だったな・・・


図6.jpg




去年、ここに来るはずだった…



ここに来れば…




会えると思った。






遅れてやってくる桜前線。




春蝉の奏と岩にたたく水の音。



藪の中を見渡しながら水辺に立った。




少しだけ投げるか。



私はスプーンを一つとりセットした。

図4.jpg
【山女魚スプーン】




届け。




そんな願いを込めて水の流れに身を委ねさせつつドリフトして巻いてくる。





指先に神経を集中させて、グッとリールが巻けなくなったら迷わずアワセる。





カウントを数え10秒。




沈んだか・・・





巻き始めて数秒後・・・ググ


グン!



来たよ!





あまり大きくないとは思ったが、釣れた魚はウグイであるとは思わなかった。


図3.jpg


私らしいと言えば私らしい。



お前は笑ってるだろうか。

図5.jpg




いつだってそうだ…


私の想いはいつも届かない。



タイミングが悪いのだろうか…



強行すればよかったのだろうか…


お前を理解してないだけなのか…



何度考えても答えが見つからないんだ…




お前に会えれば答え合わせができるのに、いつだってお前は私の前に現れてくれやしない。




どこだ・・・




どこにいるんだよ!






俺の声は聞こえるか!?




俺は会いに来た!






お前を忘れた事なんてない!





ずっと想っていたんだ!!





ねぇ・・・





聞こえてるんだろ!?
















応えてよ!!!!!!



















渓に響く私の声に返事はない。


















私は疲れ切ってしまい、流れ穏やかな場所の橋の下で涼みながら、ルアーを投げた。













その時だった・・・









・・・・






・・・・ググ





!?!?!?!?




ギュンギュギュギュギュギュギュ!!!!!!!!





え!?!?!





無心だった。






ファーストランをかわす事などわけもなかった…




それだけ集中していた。






そして数秒後・・・






・・・お前なのか・・・?






そんな事を考えた。





そして寄せてきた時に、その気持ちは潰えた。




ありがとうな。釣れてくれて。


図2.jpg



私はその後、2匹もニゴイを追加した。


図1.png



とても有意義な時間を提供してくれた彼らに感謝をし、渓を上がる。




今日も・・・会えなかった。





周りを見渡しても、そこに求めるモノはなく、私はただ思い出を振り返りながら山道を降りた。






時間が解決するのか?あとどれ程まてば…




流れ星の様にすぐに消えていった憧れに、いつかまた会いたいと想いを馳せた。








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この辺だったんだよなぁ・・・







・・・木苺。





あ、まだ花ビラ落ちたばっかだ・・・早すぎた。






2019.06.01





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